「あなたは、1日何時間座っていますか?」と聞かれたら
すぐに回答できますか?
能動的ではない行動を自覚することは難しく
把握されていないケースが多いようです。
しかし、座っている時間が長いと健康リスクが、上昇することが
分かっていて、注意が必要です。
「座位行動」とは、座っている、横になっている、といった
就寝中以外で、身体的に活動していない状態のことです。
近年の研究で、この時間があまりに長いと健康問題が発生することが
明らかになっています。
25歳以上の成人を対象とした調査で、テレビ視聴時間が、1日1時間増えるごとに
総死亡率が、11%上昇するとの報告があります。(テレビ視聴は
長時間の座位行動につながるため、座位時間の代替指標として、用いられています。)
また、テレビを1時間視聴するごとに、寿命が、21.8分短くなるとの指摘もあります。
座位による健康リスクについての重要なポイントは
日ごろから運動習慣がある場合でも、座っている時間が長い場合
健康リスクは、充分に減らないという点です。
健康を意識して運動習慣がある方も、一度自身の座位時間が
どの程度あるか、確認してみてください。
ところで、20ヶ国を調査したところ、日本人の平均座位時間は
世界最長の7時間であったという報告があります。
最も短い国は、ポルトガルの2.5時間で、次に、
ブラジル・コロンビア・インド・オーストラリア・中国・ニュージーランド・アメリカ・
アルゼンチン・ベルギー・カナダ・スペイン・スウェーデン・チェコ共和国・
香港・リトアニア・ノルウェー・台湾・サウジアラビアの順番に座位時間が
長くなるのですが、この最後が、日本となっています。
日本人の座位時間を上昇させている要因として、デスクワーカーの多さや
業務中に不用意に立ち歩く人が少ない文化が影響しているかもしれません。
日本の就労者を対象とした別の報告では、対象者の約70%を占めるデスクワーカーが
勤務日に70%近く座っており、長時間(30分)連続した座位時間が
勤務時間の約25%を占めているとのことでした。
昨今は、リモートワークの環境なども整備され、
座りすぎに拍車がかかっているかもしれません。
これまで、多くの国の身体活動ガイドラインにて、中強度以上の活動が
推奨されてきましたが、近年は座りすぎ対策も徐々に盛り込まれる方向で動いています。
身体活動指針について、イギリスでは2011年に、オーストラリアでは2014年に、
WHOでは2020年に、これまで提唱してきた中強度以上の身体活動に加え
座位時間を減少させることについて言及されています。
では、具体的に座位時間をどこまで減らせればよいのか気になるところですが
残念なことに、国際的にも、まだこれといった基準があるわけではありません。
ただ、1日の座位時間が8時間以上を、座りすぎに分類している報告が多いようです。
ひとまず、座位時間が8時間を超えていないか、日頃の生活を振り返ってみてください。
とはいえ、業務によっては、座る時間を短くすることが困難な場合もあります。
その場合は、30分に1回立ち上がって歩くだけで、座りすぎによる
リスクを軽減することができると言われています。
こまめに立ち上がって動く習慣をつけてください。
座りすぎを教えてくれるスマートウォッチなどを活用しても良いかもしれません。
ウォーキングやランニングといった運動習慣に加えて、日常生活における
ちょっとした活動の積み重ねが大切ですよ。
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